2016年4月の電力小売り全面自由化に伴い、一般家庭でもそれまで電気を提供していた電力会社以外から、電気の購入が可能となりました。これに伴い各エリアに電気を販売する新電力が続々と登場し、低料金やさまざまなサービスを提供しています。そこで関西にお住まいで、どの新電力への切り替えをすればいいのか分からないという方に向けて電力自由化以降、関西地区で契約可能になっている新電力の特徴について紹介いたします。
【目次】
1.電力自由化とは
2.関西で契約可能な新電力のご紹介
2-1.HISでんき(HTBエナジー)
2-2.looopでんき
2-3.リミックスでんき
2-4.ENEOSでんき
2-5.千葉電力
3.まとめ
1. 電力自由化とは
2016年4月まで、低圧の一般家庭においては該当エリアに電気を供給する電力会社(関西電力)が電気を供給していました。2016年4月以降に電力自由化に伴い、新規に参入した新電力からも電気を購入することが可能となり、自宅の電気の使用に合わせた料金メニューを自由に選択できるようになったことに加え、既存の電力会社には無かったサービスが受けられるようになりました。経済産業省が公開している電気を購入する会社を切り替えた件数割合(スイッチング率)は近畿地域(関西地区)で22.5%となっており、関東地区の17.8%を超えて全国で最も高い数字となっていることから、新電力を含む各電力会社の競争が進んでいます。
参照:経済産業省資源エネルギー庁 スイッチング申込件数(令和3年3月31日時点)
2. 関西で契約可能な新電力のご紹介
・HISでんき(HTBエナジー)
・Looopでんき
・リミックスでんき
・ENEOSでんき
・千葉電力
2-1. HISでんき(HTBエナジー)
大手旅行会社のHISのグループ会社であるHTBエナジーが全国に電気の販売を行っている新電力です。関西地区にもサービスを展開しており、ライフスタイルに合った料金プランが選べるように設定されています。
一般家庭向けには「ウルトラ関西」、「プライム関西」の2つがあります。「ウルトラ関西」は関西電力の従量電灯Aに相当するプランで基本料金・従量料金の単価から8%OFFで利用できます。関西電力の従量電灯Aと同様に、電気の使用量が増えると単価も上がる仕組みなので、現在従量電灯Aを契約中の方で、1人暮らしや日中電気をあまり使わない家庭にすすめのプランです。
HISでんき ウルトラ関西 料金表
従量電灯A | ウルトラ関西 | |
基本料金(15kWhまで) | 341.01円 | 310.33円 |
従量料金 | 1kWhあたり | 1kWhあたり |
最初の120kWhまで | 20.31円 | 18.49円 |
120kWh~300kWh | 25.71円 | 23.47円 |
300kWh超過 | 28.70円 | 26.65円 |
「プライム関西」一般的な4~5人以上の家庭で多く利用されているプランです。従量電灯Aと比較すると電気使用量が120kWhまでは従量料金単価が高いですが、電気使用量が120kWhを超えても従量電灯Aとは違い料金単価が上がらず、基本料金も半額なので、電気をたくさん使う家庭におすすめです。
HISでんき プライム関西 料金表
2-2. Looopでんき
Looopでんきは東日本大震災の被災地に太陽光発電を設置するボランティア活動が前身となり設立された新電力で、電力小売り全面自由化以降全国で電気を販売しています。Looopでんきで一般家庭向けに用意されている料金プランは基本的には「おうちプラン」の1つで、基本料金がかからないこと、また電気の使用量に依らず従量料金単価が変わらないのでシンプルで分かりやすい体系になっています。
Looopでんき おうちプラン 料金表
関西電力の従量電灯Aと比較すると、電気使用量が120kWhまでは料金単価は高いですが、Looopでんきのおうちプランでは基本料金がかからないうえ従量料金単価が一律のため、電気を多く使う家庭ほどお得になる仕組みです。さらに契約時の事務手数料も解約手数料もかからないため、気軽に現在の電力会社からの切り替えを行うことができます。
2-3. リミックスでんき
リミックスでんきは全国に電気に販売を行っており、大手電力会社よりも基本料金・従量料金が最大5%OFFになるリミックスでんきに切り替えるだけで確実にお得になる料金プランが設定されており、そのまま電気料金を割引くか割り引いた分を仮想通貨(ビットコイン)で受け取るかを選べるところが特徴です。
リミックスでんき 料金表
リミックスでんきにおいても、最低契約期間の制限や解約金がかかりませんので、新電力に切り替える際の各社の料金プランの比較が煩わしいけど電気代は安くしたいという方にとっては、切り替えるだけで確実に電気代を下げることができるのでおすすめです。
2-4. ENEOSでんき
ENEOSでんきはガソリンスタンドENEOSでおなじみのJXTGホールディングスが全国に電気の販売を行っているサービスです。月々の電気代をENEOSカードで支払うことで、ガソリン・灯油・軽油の料金が1リットルあたり1円安く購入できるなど、ENEOSグループらしいサービスが受けられるのも特徴です。関西地区では従量電灯Aに相当するプランとして、関西Aプランとういう料金メニューがありあります。
ENEOSでんき 関西Aプラン 料金表
従量電灯A | 関西Aプラン | |
基本料金(15kWhまで) | 341.01円 | 285.00円 |
従量料金 | 1kWhあたり | 1kWhあたり |
最初の120kWhまで | 20.31円 | 20.31円 |
120kWh~300kWh | 25.71円 | 23.99円 |
300kWh超過 | 28.70円 | 26.80円 |
電気の使用量が120kWhまでは関西電力の従量電灯Aと同じ従量料金単価ですが、基本料金が安く120kWhを超えると従量料金単価も安くなるので、1人暮らしなどの普段からあまり電気を使わない方にとってもお得になり、4~5人家族で電気を多く使用する家庭にとってはさらにお得になるように料金プランが設定されています。また2年以上の契約を前提とした「にねんとく2割」という割引プランがあり、さらに従量料金単価を安くすることができます。Looopでんきやリミックスでんきと同様に違約金や解約金が発生しないこともメリットの1つですが、「にねんとく2割」のオプションを付けていると解約金が発生してしまうので注意が必要です。
2-5.千葉電力
千葉電力はフューチャー・リレーションという千葉県近郊に太陽光発電システムの販売を行っていた会社が母体となり、電力自由化以降の2016年6月から電気の販売を行っています。再生可能エネルギー100%を目指して千葉県を中心に電気の販売を行っていますが、関西地区でも千葉電力への切り替えが可能です。一般家庭向けには従量電灯Aに相当する「ミディアムライフプラン」があります。
千葉電力 ミディアムライフプラン 料金表
従量電灯Aが3段階の従量料金単価であるのに対してミディアムライフプランでは2段階の従量料金単価となっています。120kWhまではミディアムライフプランの方が若干単価が高めですが、120kWhを超えてもミディアムライフプランでは単価が上がらないため、電気の使用量が120kWh以上であれば電気代がお得になります。また300kWhを超えると共に従量料金単価は上がりますが、ミディアムライフプランの方が安く設定されているので、多く電気を使うほど電気代がお得になる仕組みとなっています。
3. まとめ
全国でスイッチング率が最も高い関西地区では新電力各社がさまざまなプランを提供しているので、ライフスタルに合ったプランを選ぶことができます。自由に選択できるようになった分、選択肢が増えてどれを選ぶべきか悩むという場合には、電気料金以外のオプションサービス面で決めるのも1つの手です。解約金が発生しない新電力もあるので、まずはお試しという気持ちで電気代を節約してみるのも良いのではないでしょうか。